個人事業主の妻は「専従者給与」か「外でフルタイム勤務」か?扶養内で働くケースも含めて徹底比較
2025年10月20日
2025年10月20日

こんにちは、ミネルバ税理士法人です。このブログでは、「会社設立」や「起業」に関するノウハウやポイントを中心に分かりやすくご紹介しています。今回は専従者給与について整理してみました。ぜひ、参考にしてください。
「家族にはどう働いてもらうのが一番いいの?」
開業したばかりの方から、こんなご相談をよくいただきます。
よく比較されるのが、次の3つのパターンです。
- ・妻を「専従者」として給与を支払う
- ・妻が「扶養内パート」で働く
- ・妻が「外でフルタイム勤務」をする
どの形を選ぶかによって、税金・社会保険・世帯の手取り額まで大きく変わってきます。
今回は、夫の事業所得が400万円の場合を例に、それぞれの働き方を比較してみましょう。
① 妻を「専従者」として給与を支払う場合(年123万円の場合)
夫の事業所得400万円から、妻への専従者給与123万円を経費として差し引くため、夫の事業所得は277万円になります。所得税率が10%の場合、概算で約12万円の節税になります。一方、妻は給与所得控除65万円と基礎控除95万円の範囲内に収まり、所得税はかかりません。
ただし、専従者給与は家庭内での資金移動にすぎないため、世帯全体の収入は実質400万円のままです。また、妻は引き続き国民健康保険・国民年金に加入することになります。
まとめ:節税効果はあるが、世帯全体の手取りは増えにくい。
② 妻が「扶養内パート」で働く場合(年123万円)
この場合、夫の事業所得は400万円のまま。専従者給与による経費控除はありません。
妻の年収123万円に対しては、給与所得控除65万円と基礎控除95万円があり、こちらも所得税はゼロ。さらに夫は「配偶者特別控除(38万円)」を受けることができます。
結果として、世帯収入は 夫400万円+妻123万円=約523万円。
社会保険は基本的に、国民健康保険・国民年金のままですが、勤務時間や勤務先によっては勤務先の社会保険に加入できる場合もあります。
まとめ:収入・税負担・時間のバランスが取れた現実的な選択肢。
③ 妻が「外でフルタイム勤務」をする場合(年240万円)
妻がフルタイム勤務で年収240万円を得る場合、夫の事業所得は400万円のままです。
妻は給与所得控除65万円と基礎控除58万円を差し引くと、課税所得は約117万円。
妻にも所得税がかかります。所得税率5%として、概算で6万円ほどの税負担が生じます。 夫婦合計の税金は増えますが、世帯収入は夫400万円+妻240万円=640万円と最も多くなります。
さらに、妻が勤務先の厚生年金・健康保険に加入できるため、将来の年金や医療保障の面でもメリットがあります。
まとめ:税負担は増えるが、家計の収入と保障の両面で最も有利。
今回のケースでは、 専従者給与は節税効果が高い一方で、世帯の手取り増加にはつながりにくいです。
扶養内パートは、配偶者特別控除を活用でき、家計収入を増やせるバランスの良い選択です。
妻が外でフルタイム勤務をする場合は、税金は増えても、家計収入も保障も最も充実します。
- ・節税を優先するなら「専従者給与」
- ・バランスを重視するなら「扶養内パート」
- ・家計の収入増と年金や医療保障の面を重視するなら「フルタイム勤務」
なお、今回の試算は「事業所得400万円」のケースをもとにしていますが、事業所得の金額によって内容は大きく変わります。
それぞれのご家庭で、収入・税負担・社会保障の優先順位を整理し、ライフスタイルに合った働き方を選ぶことが大切です。今回の記事が皆様のお役に立てると幸いです。疑問点やさらに詳しく知りたいことがありましたら、ぜひお気軽にLINEの無料相談をご利用ください。ミネルバ税理士法人の専門家が、あなたのビジネスを全力でサポートいたします。